木々の枝先に新緑の萌え出ずる嵐山にふさわしい春の光が今ここに届いています。早い春の訪れに桜は緑になりましたが、レンギョウの黄色、山つつじの紫、こぶしの白、沢山の花々が伸びやかに咲き誇り清明の、命の躍動するうれしい春となりました。

本日ここに、入学を許可された新入生の皆さん、入学おめでとう。また、保護者の皆様お嬢様のご入学おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。本日、多くのご来賓の皆様、保護者の皆様にご臨席いただき、平成30年度大妻嵐山中学校高等学校入学式を、このように盛大に挙行できます幸運を、心より感謝いたします。

新入生の皆さん

高等学校あるいは中学校を目指して勉強する日々には、たくさんの不安や迷いがあったろうと思います。長い受験勉強を最後まで諦めずにやり抜いて、大妻嵐山の生徒としてこの席にあることを選択してくれたあなたたち。本当にありがとう、そして心から歓迎します。あなたたちが生きていくこれからの時代は本当にどうなってゆくのでしょうか。自動運転車の走行実験が進み、話しかければ私たちが望むことをしてくれるスピーカー、英語を教えてくれたり、話し相手になってくれるロボットがすでに私たちの社会にやってきています。あと10年もすれば確実にやってくるさらに想像力を超えた未来の世界は、とても楽しみでもあり、少し不安でもあります。

2015年9月、ニューヨーク・国連本部で開催された国連サミットで「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)を中核とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。膨大な宣言の中の一つに次のようなものがあります。

(誰一人取り残さない)この偉大な共同行動に乗り出すにあたり、我々は誰も取り残されないことを 誓う。人々の尊厳は基本的なものてであるとの認識のもとに、目標とターゲット がすべての国、すへての人々及び社会のすべての部分で満たされることを望む。そして我々 は、最も遅れているところに第一に手を伸ばすべく努力する。

大妻嵐山が学校のコンセプトとしているたグローバルエコサイエンススクールのグローバルは消費拡大のためのグローバルでなく、このアジェンダが言う一人も取り残さない「人類に幸福をもたらす発展」でありたいと思います。この日本の地、この嵐山の地にあっても、世界中の人々の現状に思いを馳せ、自分の幸福とともに彼らの幸福をも願う心を大妻嵐山のグローバルな心としたいのです。

これからの時代に生きてゆくあなたたちにとって本当に重要なのは、人間の基幹となる力です。すなわち、幅広い視野、深い専門知識に基づく論理的思考力、優れた規範的判断力、自分の考えを他者に伝える表現力、そして他者を尊重できる柔軟性です。この幅広い視野を身につけるためには、自分の興味関心と異なる分野を学ぶことも必要です。学校の授業や学問はテストや大学受験だけを目的としているものではありません。今後、ますます人と情報は国境を越えて早いスピードで行き来するようになります。今や世界の様々な国や地域の人々とも、競争しつつ協力し、共に働くことが求められるようになっています。そんな時代に通用する力のもとになる基礎固めをすることが、中学高校での学習の意味でもあります。

また、中学校高校時代に、海外の国の人々と真剣に交流する機会を得られれば、何ものにも代え難い経験をもたらしてくれるはずです。一歩外に出て、海外で、自ら明確な目的意識をもって計画を立て行動し、様々な国や地域の人々と議論し、相互の理解を図る。こうした経験によって、力をつけて欲しいのです。

それを実現するためにあなたたちに私たちが求めることが3つあります。

その1 知ること、考えること、行動すること

自分が知らないことがこの世の中にはたくさんあり、それを知るために学ぶのであるということ。開発途上の国々の女性や子供たちが本当はどのような生活を送っているのか、お家の方々の深い愛情に包まれて育ったあなたとの違いはなんなのか。まずは知ること、それが考え、行動することに繋がり、流れができ潮流となる。

一時間一時間の授業に真剣に取り組む、そのためには旺盛な好奇心も必要だし、更に学びを深めるために自ら学ぶ時間も大切です。教えてもらうのを待つ学びのスタイルをぜひ、自ら求めて学ぶスタイルへと転換してほしいと思います。

自分の良さをみつけ、失敗を恐れず、能力を信じて全力で挑戦してください。あなたたちには恵まれた能力がある。その力を使い切らないのは勿体無い。どうぞのびのびと、自分の良さや力を信じて思う存分それを発揮しましょう。遠慮することはないのです。

その2 あなたの活動の面を広げる

今この瞬間、あなたが想像できる、あなたが活躍できる場はどれくらい広いですか。

その3 人生の時間軸の視点を伸ばす

あなたの人生の視点は、どこを見ていますか。まずは2030年、2050年。あと12年、あと32年。日本はどんな状況になっているのか想像できますか?経済界や大学では、劇的に若者の人口が激減する2030年をどう乗り超えるか、生き残りをかけた改革や、イノベーションが進められています。

創立110周年を迎える大妻女子大学も、現在、次の100年を見据えた構造改革プロジェクトが進んでいます。さあ、あなたは、その時どんな人になっているのでしょう。そのために、これからの学校生活をどうすごしていくのかを真剣に考えてください。いつも、時代の先を見て。

各地で起こっている大きな災害で被害に遭われた地域の復興の困難さ、見えない先行きに対する不安は、今まだ残ったままです。決して忘れてはならない原点としてこの事実は存在しています。震災は、私たちに世界観、価値観、方法論の見直しを迫りました。今までのやり方では通用しない人類が初めて経験したことの解決のために、方法を模索しながら自分の力で考え、手を取り合って乗り越えていく力を求めています。あなたたちの成長こそが、新しい日本、持続可能な発展のできる世界を作る大きな力になるのです。

大妻コタカ先生は私たちに

「理想や希望を持つだけではダメ。どうしたらばそれが達成させられるかという工夫をすること。失敗しても失敗しても幾度でも立ち上がって努力すること。希望や理想は私たちの学業が進むにつれて、人間性が向上するにつれて、次第に大きく高くなるもの。いつもその先を見つめながら歩きましょう。」とおっしゃっています。

Just to have ideals and hopes is not enough.

We have to devise  how to accomplish it.

Even if it fails many times, standing up and striving to do it again and again is the key.

Hopes and ideals gradually increaseas your studies progress, as humanity improves.

Let ‘s go for it.

今日始業式で、あなたたちの先輩の、2年生3年生に、失敗の中から新しい可能性や元素を発見して、2度もノーベル賞を獲得したポーランドの女性研究者マリー・キュリーのセレンディピティの話をしました。まさにコタカ先生がおっしゃっていらしたことと同じ。素晴らしきコタカ先生です。

中学生の新入生

今日入学したあなたたちの仲間は、プレゼンテーションが得意な人、学ぶことが得意な人、スポーツが得意な人、プログラミングが得意な人、英語が得意な人、人の気持ちを思いやるのが得意な人、クラスをまとめるのが得意な人などいろいろな良いところを持った人たちがいます。

それぞれのすばらしさを、認め合い、磨きあうクラスにしましょう。

保護者の皆様

私たち教職員は、お嬢様をコタカ先生と同じ気持ちで自分の娘と思い、一丸となり日々全力で教育活動に取り組んでまいります。今、大妻嵐山では教職員が、新しい時代に向けて策定された新学習指導要領の趣旨を踏まえて

「教えてもらうのを待つ学び」から、「自ら主体的に学ぶ学び」へと生徒たちの学びのスタイルを変えることを目標に、自分自身の授業を、それができる授業に進化させるための努力を続けています。「学ばない人からは人は学ばない」を胸に刻んで切磋琢磨し、工夫し「主体的・対話的な深い学び」となる授業を志向し、努力を重ねています。

これまでの職員たちに、さらにこれまで様々な分野で活躍し、実績を積んだ新しい教員メンバーも加わり、大妻嵐山のさらなる教育力Upも期待していただきたいと思います。

娘たちはこれから学校生活で楽しいことや充実感を味わうことがたくさんありますが、悩み、苦しむこともたくさんあると思います。それを自分の力で乗り越えてゆく力の育つ時代です。必ず、娘たちは自力で乗り越えていきます。お嬢様の自力を信じて、成長を見守っていただきたいと思います。私たちは、娘たちの、自立を保護者の皆様とともに全力で支えてまいります。お嬢様のことを時には厳しくともに鍛えてゆく同志として、ご一緒いただきたいと思います。

伝統は時代の変化を見据え、改革とイノベーションにより築かれ守られてゆくもの。大妻の100年、大妻嵐山の50年の伝統を守り歴史を刻む一人としてお嬢様を育て、学校を発展させることを改めてお約束して、入学式の式辞といたします。