Otsuma Ranzan Junior and Senior High School

ヒトゲノムの解析と、遺伝子検査

2018.06.27

校長室から

埼玉大学の坂井先生のご紹介で、5年くらい前に、試しに遺伝子検査を受けました。たまたまTVをつけたら、大リーガーの田中選手が、私が受けた会社ではない別の遺伝子検査のコマーシャルをやっていました。
まずヒトゲノムが、あっという間に解読されたことが驚きでしたが、遺伝子検査のコマーシャルが流れる時代になったのだとびっくりしました。
随分前になりますが生徒たちと「土曜日生物講座」をやっていましたが、その時取り上げたのがイーサン・ホーク主演の「GATTACA」。近未来、自然児の主人公が、デザインベビーのエリート達の社会で、エリートしかなれない宇宙飛行士になる夢を実現するというもので、その時代には、いとも簡単に遺伝子配列がわかる上、人間をデザインできるというものでした。
今、ゲノム編集も研究の世界では可能な技術となり、「GATTACA」の世界はすでに現実に近くなっています。
自分で遺伝子検査を受けるときには、かなり勇気が必要でしたが「この年齢になれば、自分の遺伝子を知っても、ま、大丈夫だろう。遺伝子配列と自分の形質を許容できる範囲で提供することは、人の健康を研究する役に立つ」と考えたからでした。検査会社から送られてくる情報は自分で選択して確認するので、見たくない項目は見ないことにしました。
それにしても、面白いことがたくさんわかります。私の細胞のミトコンドリアDNAの配列では、ルーツはなんと南方からの「農耕民族の稲作の民」。数的思考力、肌の保湿力や、乳酸の溜まりやすさ、若返りホルモンの量などなどいろいろな形質について統計的な数字が示され、びっくりすることがたくさんあり、結構楽しんでいます。
これからの新しい時代に向けた2020年大学入試改革が大きな話題ですが、あと10年、医療生物学の世界の知見や技術はどこまで進歩するのでしょうか。「GATTACA」の世界は夢物語ではなくなるのでしょう。