いじめ防止基本方針
大妻嵐山中学校・高等学校 いじめ防止基本方針
2014年(平成26年)3月19日策定
2023年(令和5年)12月13日改定
この方針は、2013年(平成25年)9月28日に施行された「いじめ防止対策推進法」第13条に基づき本校の実情に即したいじめ防止のための対策の基本方針を策定したものである。以下の1~6の事項を柱としていじめ防止を推進していく。
1 全教職員で共有すべき基本的認識及びいじめ防止等のための組織
2 いじめの未然防止
3 いじめの早期発見
4 いじめに対する措置
5 ネットによるいじめへの対応
6 重大事態への対処
1.全教職員で共有すべき基本的認識
① いじめは決して許さない
いじめは、「いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものである」(いじめ防止対策推進法第一条)ことを充分に認識し、本校の校訓・建学の精神を大きく逸脱するものと捉えるべきである。いじめを個々の生徒間の問題に矮小化せず、本校の教育環境に甚大な悪影響を与えるものとして絶対に容認してはならない。
また、教師の体罰や人権意識への配慮を欠いた言動によっていじめを助長・容認するようなことは厳に戒めるべきである。
② いじめられた生徒を守る
いじめが発生した際、いじめられた生徒の生命心身を保護することを最優先に考え、いじめられた生徒の立場に立って対処することが何より重要である。
「いじめられた生徒にも問題がある」・「いじめを克服して成長する」という発想を持ってはならない。
③ いじめの未然防止に力を尽くす
日々の学校生活の中で、全ての生徒が「きちんと授業に参加する」(規律)、「基礎的な学力を身につける」(学力)、「認められているという実感を持つ」(自己有用感)ことが未然防止の要諦である。この「規律・学力・自己有用感」の育成に資する授業・学級経営・特別活動の実践に向けて指導力の向上に日々努めなければならない。
④ 組織的対応
生徒のささいな変化に気付くことがいじめの未然防止・早期発見には不可欠である。個々の教師の資質向上とともに複数の目で生徒を多面的に見守ることが重要である。気付いたささいな変化を教育相談委員会に迅速かつ正確に報告し、学校全体で情報を共有し問題に対応していくようにしなければならない。
「いじめはどの生徒にも起こりうる」と認識し、学級担任・学年の問題として抱え込むようなことはあってはならない。
⑤ いじめ防止等のための組織
いじめ防止対策推進法第22条に規定された組織として、生徒指導部が中心となり教育相談委員会を運営し、日常的ないじめ防止対策を行う。教育相談委員会の構成員は以下の通りとする。
構成員…教頭・生徒指導主任(教育相談委員会委員長)・主幹・各学年主任・養護教諭・スクールカウンセラー
- 重大事態に関しては、上記の他に法人関係者、法人弁護士、校長、事務長・関係教職員等及び専門的知識を有する第三者等を加えた重大事態調査組織を設置して対応に当たる。
2.いじめの未然防止キーワード「豊かな心」・「規律」・「学力」・「自己有用感」
① 「豊かな心」の育成
◎ 学祖大妻コタカの言行に基づいた指導
「恥を知れ」・「らしくあれ」等の意味を日常の教育活動の中で浸透させる。
◎ 「論語」を活用した指導
「論語」の指導をSHR・LHR及び中学道徳の時間を用いて系統的に実施する。
◎ 生徒同士の対話討論を活発化する指導
教科指導・HR指導の中にスピーチ・ディスカッション・ディベート等自己の意見を述べたり、他者の意見を聴いたりする場面を多く設定し自他の考えの相違を認め合える集団を育成する。
◎ 生徒の主体的ないじめ撲滅に向けた活動の推進
生徒会を中心とし生徒自身が人権尊重・いじめ防止に資する行事を自発的に企画実施できるよう指導する。
② 「規律」ある学校生活の徹底
◎ 挨拶の励行
教師が生徒に丁寧に明るく挨拶する習慣を徹底し範を示すとともに授業の開始終了の挨拶が真剣になされるよう徹底指導をする。
◎ 学習姿勢の身体的・心理的保持
背筋を伸ばした正しい姿勢で教師と向き合う習慣を身に付けさせる。授業中姿勢が崩れたり、集中力が途切れた時には繰り返し注意を喚起し正しい学習姿勢を保持させる。
◎ 身だしなみ
制服の着こなし、髪型等生徒心得の遵守が本校生としてのアイデンティティを高めることを十分に理解させ日常的な指導を徹底する。
◎ 言葉遣い
人を傷つけたり、思いやりを欠いた言葉遣いに関してはその都度厳しく注意し改めさせる。敬語の使い方等を十分に指導し場に応じた言葉遣いを身に付けさせる。
◎ 清掃
清潔で整った環境が充実した学校生活の基盤となることを理解させた上で、協働作業として日常の清掃活動に真剣に取り組ませる。
◎ ソーシャルメディアポリシー
本校で作成したソーシャルメディアポリシーはSNS利用の危険性に十分配慮されている。学年・クラス等でその内容の浸透を図るよう丁寧に指導する。
③ 「学力」の定着
◎ 基礎的内容の徹底指導
各教科で全員が習得すべき基礎的事項を精選した上で、その定着に有効な指導法や学習課題を研究し実践する。落ちこぼし生徒を作らないよう粘り強く指導する。
◎ 知的好奇心の喚起
生徒が自発的にさらに学びたくなるような授業が展開できるよう教科で研究し実践する。
◎ アクティブラーニングの定着
ICT活用の研究開発を継続し、生徒全員が主体的に参加し、考えを発信する授業への質的転換を学校全体でより一層推進する。
④ 「自己有用感」の獲得
◎ 居場所作り
生徒一人一人が安心して学校生活を送れる場を提供する。各種質問紙調査や検査等を活用したクラス経営や充実感を感じられる部活動を推進する。
◎ 他者への寄与を実感できる機会作り
係・委員会・生徒会活動等を活性化し、属する集団の中で全員が何らかの役割を果たし、集団への貢献を実感できる機会を提供する。
◎ 自他の意見を交換し違いを認め合う機会作り
学習活動・課外活動を通じて、生徒同士が意見を述べ、自分と異なる意見にも耳を傾けられるコミュニケーション能力を育成する。
3.いじめの早期発見
① いじめを訴えやすい体制の整備
◎ 教育相談体制の一層の充実
◎ 電話相談窓口の周知
◎ いじめの具体的態様の周知…以下を教室に掲示
- △ 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる
- △ 仲間はずれ、集団による無視をされる
- △ 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする
- △ ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする
- △ 金品をたかられる
- △ 金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
- △ 嫌なこと恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする
- △ パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる
② 生徒のささいな変化に気付く力の向上
◎教職員は、「いじめはどの生徒にも起こりうる」という認識に立ち、何気ない言動の中に生徒の心の訴えを感じ取る感性や隠れているいじめの構図に気付く洞察力を身に付ける必要がある。また、生徒、保護者がいじめと疑われるような行為に関しても教職員に相談しやすいように日頃から生徒に共感的理解を示し真摯に訴えを傾聴できるようカウンセリングマインドを高め生徒を見守って行かねばならない。
◎上記の事柄を実践できるよう外部講師を招いたカウンセリング・発達障害に関する研修や校内研修(On the Job Training)の充実を図る。
③生徒情報の把握と共有
◎いじめ調査項目を主とした生徒の生活状況調査を年2回実施する。生徒指導部が主管する。
◎年間複数回実施している生徒との個人面談や保護者面談の際にいじめの有無についても話題にしていく。
◎毎週行う学年会議と教育相談委員会会議で情報の共有を図る。教育相談委員会会議の内容について速やかに全教職員に守秘を前提として伝達する。
④生徒の家庭との連携と情報共有
◎生徒の学校でのささいな変化を見逃さず迅速に担任・学年団は保護者に連絡する。保護者にも新入生ガイダンスや学級懇談会で生徒の家庭でのささいな変化を担任・学年団に時期を逸することなく、遠慮なく連絡してもらうよう繰り返し呼びかける。
◎生徒の個人情報については、個人情報保護法の趣旨に沿って細心の注意を払って取り扱うこととする。
4.いじめに対する措置
① 迅速かつ正確な事実確認
◎いじめの兆候を教職員が発見したり、生徒や保護者から訴えがあった場合には問題を軽視することなく、迅速に対応しなければならない。まず最初に正確に事実確認を行う。事実確認の要点は以下の通り。状況に応じて柔軟に対応する。
ア 確認の対象 被害生徒・報告してきた生徒・加害生徒・周囲の生徒・保護者等
イ 確認内容 被害生徒と加害生徒 時間と場所 内容 原因と背景 期間
ウ 確認する主となる教職員 担任及び学年団・学校危機対応対策室・生徒指導部
エ 配慮すべき事
○被害生徒・報告してきた生徒を守る。
○関係生徒への事実確認にあたっては一人一人個別に複数の教職員が行う。
○関係保護者に事実確認が必要な場合、家庭訪問等で直接面談して行う。
② 組織的対応
◎担任・学年団だけで対応せず教育相談委員会にいじめ事案の兆候・発生を速やかに報告し迅速な対応を図る。内容によっては生徒指導部・生徒指導委員会等と十分に連携し適切に対応する。
③ 具体的な措置
◎いじめを受けた生徒への対応
ア 「最後まで守り抜くこと」「秘密を守ること」を伝え、いじめを受けた生徒の立場に立つことを明確に伝え、心の安定を図る。
イ 落ち着いて学校生活を送れる環境の確保を図る。
ウ 教育相談委員会と担任団が連携し、本人の自尊感情を高めるよう心のアフターケアに努める。
◎いじめを行った生徒への対応
ア 速やかにいじめを止めさせる。いじめを行った生徒の抱える問題にも目を向け、当該生徒の健全な発達に関しても配慮する。
イ いじめは人格を傷つけ、生命、身体を脅かす行為であることを十分に理解させ、自らの行為の責任を自覚させる。内容を鑑み退学を含む厳正な処分も検討する。
◎周囲の生徒への対応
ア 「いじめは絶対に許さない」という毅然とした姿勢を学校全体に示す。
イ はやし立てる「観衆」も見て見ぬ振りをする「傍観者」もいじめに加担していることを十分に理解させいじめを抑止する仲裁者になるよう指導していく。
④保護者への対応
◎ いじめを受けた生徒の保護者への対応
- ア 事実確認後速やかに家庭訪問等で直接面談し、前記のいじめを受けた生徒への対応を伝え、解決に向けて協力を求める。
- イ 家庭での変化を注意深く見守り、ささいな事でも学校へ連絡してくれるよう依頼する。
◎ いじめを行った生徒の保護者への対応
- ア 事実確認後速やかに家庭訪問等で直接面談し、前記のいじめを行った生徒への対応を伝え、解決に向けて協力を求める。
- イ 家庭での本人の様子を聞き、本人の抱える問題を正確に把握し今後の生徒の変容に向けて連携して取り組むことを伝える。
⑤ 再発防止
◎ 継続的な指導
いじめ事案が解消したとみられる場合でも、十分な観察を継続的に行うことによって再発防止に取り組む。
5.ネットによるいじめへの対応
① 未然防止
◎いじめ事案の大半はネットによる誹謗中傷及びプライバシーの侵害に起因していることを十分認識し、SNS利用の危険性を生徒・保護者に継続的に訴えていく。
◎今後ICT教育をさらに推進していくためにも、入学後の早い段階から情報リテラシー教育を十分に実践する。
◎インターネットの利用は家庭で行う機会が多いことに鑑みて、フィルタリングサービスの利用・家庭での使用ルール作りの重要性を保護者に理解してもらい、家庭との緊密な連携によって未然防止に取り組む。
② 早期発見・早期対応
◎学校の情報担当者及び依頼業者によるネットパトロールを継続し誹謗中傷や人権侵害に当たる画像や書き込みの早期発見に努める。
◎発見した画像や書き込みの削除を迅速に進めるとともに、他のいじめ事案に対する同様の対応を行う。
6.重大事態への対処
① 重大事態の意味(いじめ防止対策推進法第28条より)
- 一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき
- 二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき
② 組織的対応
教育相談委員会の他に、法人関係者、法人弁護士、校長、事務長、関係教職員等及び専門的知識を有する第三者等を加えた重大事態調査組織を設置して対応に当たる。
③ 事実関係を明確にするための調査
県立学校部生徒指導課、総務部学事課作成の重大事態対応フロー図に準じて行う。
④ 調査結果を踏まえた必要な措置
県立学校部生徒指導課、総務部学事課作成の重大事態対応フロー図に準じて行う。
⑤ 保護者への対応
県立学校部生徒指導課、総務部学事課作成の重大事態対応フロー図に準じて行う。
⑥ 地方公共団体への報告
県立学校部生徒指導課、総務部学事課作成の重大事態対応フロー図に準じて行う。
7.詳細な行動計画の策定・実施
1~6の諸項目について学校危機対応対策室・生徒指導部・各学年・各教科等で、その推進に資する具体的な行動計画を策定する。特に基本理念・未然防止に関わる内容については学校全体の教育の方向性を示すものであるので十分に検討し具体化することが急務である。
8.学校評価に関すること
本基本方針は、生徒保護者への周知を図るとともに本校ホームページにも掲載し、学校内外に公表するものとする。また、学校評価委員会の評価項目として設定し、年度末の評価を受け、実施状況を振り返り次年度の改善を図ることとする。