Global Eco-Science School 世界につながる 科学する心、表現する力

Otsuma Ranzan Junior and Senior High School

20190827始業式「文化について」進路指導主任

今日は、文化についてお話します。

夏休み、多くの生徒が文化活動に参加しました。中学2年生がTBSこども音楽コンクール、中学3年がNHK学校音楽コンクール、吹奏楽部が埼玉県吹奏楽コンクール、ダンス部が全日本高校大学ダンスフェスティバルに出場して活躍ました。コーラス部、美術部、茶道部、書道部、ギター部、サイエンス部も大妻祭の準備などで活動しました。自分達の力で自分達の表現、自分達の美を創り出した意義はとても大きいです。

芸術や自然科学への感動は人が生きる事に価値を与えてくれます。人にとって富、社会的地位、名誉などの外面よりも、知性、人柄、文化的教養などの内面が大切です。人は富や、名誉や社会的地位を失う可能性があります、親しい人との絆や健康さえも失う可能性があります。苦境の中にあって人を支えるのは、その人の内面の豊かさです。感動できるものをもっていることは生きることに大きな意味を与えてくれます。

文化とは、道具、機械、社会制度から学問、芸術など人間が作り出したもので、人が動物としてただ生きるのではなく、より良く生きようとして作り出したものの全体像です。原始社会と近代社会の差は文化の有無です。文化の発達によって人はただ生き延びる生き方から、より有意義に生きる生き方へと向上することができました。それは産業の発達による物質的豊かさだけでなく、学問・芸術などの精神文化の発達に負っています。

ある時代・ある社会の評価は文化水準によって測られて来ました。

古代ギリシァ、イスラム帝国、中国の唐、ルネサンスイタリアなどは文化水準の高さで歴史に名を残しています。

知識・技術に優れ経済的に繁栄しただけで文化水準が高いと言えません。

古代ローマ帝国は強大で繁栄しましたがその文化はそれ程評価されません。

逆に、紀元前5世紀のギリシァのアテネや、16世紀イタリアのフィレンツェなど小さな都市国家が高い文化水準により賞賛されています。

ソフォクレス、フィディアス、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロらにより、文学、美術などで偉大な創造がなされました。

古代ギリシァやルネサンスイタリアには、文化の発展が人間を支え高めるという強い意思がありました。

その偉大な創造の底に流れるもの、創造の原動力は、新しい生き方を追求し、生きることの価値を高めようという意思であり、真理と美に対する欲求でした。人々は生き方を向上させるために新たな真理と美を求め、それが文化的創造の原動力でした。

今の日本で、次世代を担う若い芸術家が活躍しています。

2月、ローザンヌバレエコンクールで、佐々木須弥奈さん18歳がみずみずしく品位のある素晴らしい演技をして3位を受賞しました。インタビューでは「まさか3位に入ると思っていなかった。舞台を楽しんで、客席と一体になって踊れた。見ている方にストーリーの中に入ってもらえるようなダンサーになりたい」と語っています。

6月、チャイコフスキーピアノコンクールで藤田真央さんは、バッハ、モーツァルト、ショパンなど、情感豊かな生き生きとした演奏で2位を受賞しました。若干二十歳で音楽に潜む精神的高さを表現し、聴衆の心に訴え感動を与えました。モーツァルトについて、「ピアノの“美しい音。その連なりの中で、多くの幸せと少しの哀しみを、語り、歌いたい。」と語っています。

美術では、ヨーロッパで活躍する画家、ロッカクアヤコさん37歳はストリートアーティスト出身です。路上で段ボールに、筆を使わず手で直接絵を描くという活動で、自我を持て余すような、強い目つきの少女の絵を色彩豊かに描いていました。絵では生活できずアルバイトで生計を立てていましたが、ヨーロッパに渡って評価され、今は日本の現代アートのホープです。

もう一人、小松美羽さん34歳は、美術短大を卒業後、無名の版画家でしたが、あるバーに飾ってあった絵が偶然専門家の目にとまったことからデビューしました。今は、長野県を拠点に「大和力を世界に」をテーマに、日本の神話の神の不可思議な力を現代美術で表現して世界に発信しています。有田焼で造った狛犬は大英博物館に展示されました。

世に出て期待されている若い芸術家達は、今後自分の芸術をさらに高めて行く道を歩まねばならず、不断の努力と向上が宿命で現状に留まることはできません。

しかし、それは受けてである私達にも言えることです。

文化活動は作り出す人と受け入れる人の共同作業です。優れた作品・表現もそれを理解する人がいなければ意味がありません。優れた文化が生み出される時、受けての側も一緒に成長して行かなければなりません。私達は価値あるものに出会った時、それに感動できる人でありたい。文化的教養を高め、感受性を磨かなければ新しい感動に出会えません。

大妻祭が近いです。学校の文化とは何でしょうか?

それは生徒の学力、部活動、生徒会活動になどに表れています。

しかし、それだけでなく学校の雰囲気が学校の文化の大切な要素です。

生徒が学習する姿、生徒の身だしなみや言葉遣い、廊下の掲示物、

生徒が読んでいる本、生徒同士の会話の内容。そういったもの全体が学校の文化を形作ります。生徒の教養、品位といったものが学校の知的空気を生み出します。

学校の価値とは、その学校の持つ文化であります。

それらの底に流れるもの、学校の文化の原動力は何でしょうか?

それは、生徒が未来を追求する意志、知性と感受性を磨き自己を成長させようとする意欲です。

それは真摯に自分の成長を目指す向上心であり、価値ある物に対する欲求と敬意です。

一人一人の向上心が学校の文化を向上させます。

学校の文化の向上が一人一人の成長を支える環境を生み出します。

大妻祭では、一人ひとりが是非、文化の発信者として、受けてとして新しい自分を切り拓き、成長してください。