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Otsuma Ranzan Junior and Senior High School

入学式 式辞

令和2年4月11日

令和2年度 入学式 式辞

比企丘陵も冬の装いから淡い緑色に変わり、まさに春爛漫の季節を迎えました。しかし、世の中は、新型コロナウィルス感染拡大に対して最大限の警戒体制にあり、この入学式もネット上での簡易形式で実施せざるを得なくなりました。本来ならば、たくさんの御来賓の皆様や保護者の皆様の御臨席を賜り入学式を盛大に挙行するところではありますが、規模を縮小し実施せざるを得ないことに関してご理解をいただきたくお願い申し上げます。

ただいま、入学を許可いたしました、中学生52名、高校生131名の皆さん、御入学、誠におめでとうございます。皆さんが、大妻嵐山中学・高等学校の生徒として第一歩を踏み出されたことに、心からお祝いを申し上げます。

新入生の皆さん、目を閉じてください。そして皆さんが生まれた13年前または16年前を想像してみて下さい。真っ白な産着をまとって眠っている自分を想像できますか? そしてその傍らで、元気な皆さんの誕生に安堵の微笑みを浮かべる母親の顔、新しい家族の誕生に大喜びする家族の顔が想像できますか?

その日からもう13年または16年が経ちました。家族の温かい愛情に育まれ、皆さんは今日まで成長してきました。中学校・高等学校入学を前に、まずそのことに深く感謝しなくてはいけません。家族と皆さんを支えてくれた多くの方々への感謝の気持ちなくして新たなスタートはできません。

本日から、皆さんは本校の生徒です。家族の深い愛情に対する最大の恩返しは、皆さん一人一人が本校での学校生活を充実させ、大きな志をもって本校を巣立つことです。

さて、今日は皆さんに1つだけ話をします。

皆さんはアホウドリという鳥を知っていますか?英名はアルバトロスといいます。

夏の間はアラスカの周辺で過ごし、冬に小笠原諸島の沖ノ鳥島付近に繁殖のためやってくる鳥です。翼を広げると2m、体重も約35kgにもなる大きな鳥で、巧みに気流をつかみ、1回の飛行で40時間600km以上も飛ぶことができる飛行の名手です。

しかし、そんな飛行の名手でありながら、その体の大きさ故に助走無しではすぐには飛び立てないという欠点をもちます。離陸時には、風上に向かって全力で走り続けなくてはならず、飛んでいる時の優雅な姿とは対照的に不格好でさえあります。

お茶の水大学名誉教授外山滋比古氏は、「思考の整理学」という本で、「日本の学校は、自力で飛び上がることのできないグライダー型人間の養成所である。生徒は、先生と教科書というエンジン付きの飛行機に引っ張られて勉強する。優等生はグライダーとして優秀なのであって、自力では飛ぶことはできない。」と言っています。

私は、本校を外山氏が言うようなグライダー型人間の養成所にするつもりはありません。アホウドリのように、風上に向かって全力で助走し、力強く自らの力で飛び立つことのできるような、そして一度飛び立ったら何日でも飛び続けることができるような、力強いアホウドリ型の生徒を育成したいと考えています。

しかし一方で、皆さんは、小中学校でグライダー型の勉強しかしてきていないことも事実です。

まだ自力で飛び立つことのできない皆さんに対して、すぐに「飛んでみろ」と言っても皆さんは困ってしまうと思います。

そこで本校では、前言に反するようですが、まず始めに自力で大空に飛び出すまでの助走の仕方、つまりは予習・復習の仕方や自立活動の初歩を徹底的に訓練していくつもりです。

この新型コロナウィルス感染拡大によって、学校を順調に開始することができず、予習・復習の仕方を徹底的に訓練するのが難しい状況にありますが、学校再開後は、ことあるごとにしっかりと指導していきます。

本校教育の最終目標は学祖大妻コタカ先生のような「自立した女性」の育成です。先ほどのアホウドリの例にたとえれば、長い苦しい助走から自らの力で大空に飛び立ち、長時間悠々と飛行できるような女性を育成することです。そのための第一歩が「自学自習力の育成」であると思っています。これから私の話の中で「自学自習」という言葉が何度も出てきますが、私の意味する「自学自習」とは、皆さんが大空に飛び出すために自らの力で必死に助走するための体力や技術の育成を意味していると思ってください。

そして、皆さんが、大空に飛び立つための十分な体力と技術が備わってきたと判断したところで、今までの訓練的な指導を止め、皆さん自身の力で助走を開始させるつもりです。この段階までくれば、つまり皆さんに「自学自習力」が備わってくれば、我々教員は、助走路の障害を取り除く等の手助けをすることくらいしかすることはなくなります。後は、皆さんの全力の助走を見守るだけなのです。

アホウドリが自らの体を空中に浮かばせるために必死で助走するように、皆さんも中学校・高等学校生活の中で、勉強や部活動に必死に取り組み、体力をつけ必死に助走してください。

学習の「習」の字は、鳥の雛が自分の巣の上で必死に羽ばたきの練習をしている姿を象形していると言います。まさに、皆さんにとって学習を初めとした学校生活は、羽ばたきの練習に他ならないことを肝に銘じて頑張ってください。

保護者の皆様にお願いを申し上げます。

本日のお子様の御入学、誠におめでとうございます。そして、今までの子育ての御苦労に対して、改めて敬意を表します。

お嬢様は、本日から大妻嵐山中学・高等学校の生徒となりました。この6年間または3年間は、青春の多感な時期であり、楽しみの多い反面、何かと心を悩まされることも多いかと存じます。学校では、教職員一同、勉学や部活動等の指導に全力を尽くして参ります。

現在の生徒はソーシャルスキルが未熟で人間関係作りを苦手とする生徒が多いことも事実です。入学当初は、友人関係がうまくいかず思い悩んだり、友人とトラブルになったりする場面もあるとは思います。学校としても、担任・学年を中心にしっかりと指導していきますし、御家庭とも連絡を密にとってまいります。

しかしながら、お嬢様が御家庭で学習面・友人関係で悩みをこぼすことも多々あるかと思います。その際には、学校の指導を信頼していただき、そっとお嬢様の背中を押していただけましたら幸いです。お嬢様の指導にあたり、御家庭と学校の信頼・連携が何よりも大切となります。皆様の温かい御支援と御協力を重ねてお願い申し上げ、式辞といたします。

令和2年4月11日

大妻嵐山中学校・高等学校長 井上 正美