Otsuma Ranzan Junior and Senior High School

平成31年度入学式・式辞

2019.04.07

校長室から

入学式次第

  1. 開式
  2. 入学許可
  3. 学校長式辞
  4. 大妻学院告示
  5. 来賓祝辞
  6. 誓いの言葉
  7. 歓迎の言葉
  8. 校歌合唱
  9. 閉式

式辞

 木々の枝先に新緑の萌え出ずる嵐山にふさわしい春の光が今ここに届いています。3月の末に咲いた桜は、満開のまま今日の入学式を待ってくれていました。そしてレンギョウの黄色、山つつじの紫、こぶしの白、沢山の花々が伸びやかに咲き誇り清明の、命の躍動するうれしい春です。

 本日、多くのご来賓の皆様、保護者の皆様にご臨席いただき、平成31年度大妻嵐山中学校高等学校入学式を、このように盛大に挙行できます幸運を、心より感謝いたします。

 本日ここに、入学を許可された新入生の皆さん、入学おめでとう。
また、保護者の皆様お嬢様のご入学おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。

新入生の皆さん
 高等学校あるいは中学校を目指して勉強する日々には、たくさんの不安や迷いがあったろうと思います。長い受験勉強を最後まで諦めずにやり抜いて、大妻嵐山の生徒としてこの席にあることを選択してくれたあなたたち。本当にありがとう、そして心から歓迎します。

 今年の中学校のみらい力入試、自動運転車や、スマートスピーカー、アグリロボットの写真を使って、こんな問題文で出題しました。

「大人たちが幼かった時に想像したり夢見たりしたことが、どんどん実現する時代になりました。AIの進化や、デープラーニングによりこれまで遠いみらいの夢だったことがどんどん現実になってきます。これからどんな技術が新しく考え出され、発展していくのか楽しみですね。
昨年11月から、日本郵便がドローンを使った郵便配達の実験をはじめました。これは過疎地で暮らす人々や、被災地で避難生活をしている方々への郵便物などの配達をより早く行うために考えられているそうです。
あなたが今困っていること、またあなたの周りの人々が困っていること、あるいは世界中の誰かが困っていることを解決するために、もし写真のような道具があるとしたらあなたはどう使いますか。」
まさにこれは、私たちからのメッセージでした。

そして昨日はとても嬉しい日本の科学者達の快挙、はやぶさ2の実験成功。
地球から3億キロも離れ、簡単には想像もできない宇宙空間での実験を人間がコントロールしているのです。
そう、あと10年もすれば確実にやってくる、あなた達が生きてゆく、これよりもさらに想像力を超えた未来の世界は、とても楽しみです。

そして私たちの足元をしっかり固めなければならない、全く別の視点があります。2015年国連サミットで「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)を中核とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。この地球を守り発展させていくために世界中の人々が取り組まなくてはならない「誰も取り残さない開発」のための17の目標。

大妻嵐山が学校のコンセプトとしているたグローバルエコ・サイエンススクールのグローバルは、このアジェンダが言う「誰一人取り残さない、人類に幸福をもたらす発展」でありたいと思います。この日本の地、この嵐山の地にあっても、世界中の人々の現状に思いを馳せ、自分の幸福とともに彼らの幸福をも願う心を大妻嵐山の心としたいのです。

 これからの時代に生きてゆくあなたたちにとって本当に重要なのは、人間の基幹となる力です。
すなわち、幅広い視野、深い専門知識に基づく論理的思考力、優れた規範的判断力、自分の考えを他者に伝える表現力、そして他者を尊重できる柔軟性です。
この幅広い視野を身につけるためには、自分の興味関心と異なる分野を学ぶことも必要です。学校の授業や学問はテストや大学受験だけを目的としているものではありません。
今後、ますます人と情報は国境を越えて早いスピードで行き来するようになります。今や世界の様々な国や地域の人々とも、競争しつつ協力し、共に働くことが求められるようになっています。そんな時代に通用する力のもとになる基礎固めをすることが、中学高校での学習の意味でもあります。

さらに、中学校高校時代に、海外の国の人々と真剣に交流する機会を得られれば、何ものにも代え難い経験をもたらしてくれるはずです。一歩外に出て、海外で、自ら明確な目的意識をもって計画を立て行動し、様々な国や地域の人々と議論し、相互の理解を図る。こうした経験によって、力をつけて欲しいのです。

それを実現するためにあなたたちに私たちが求めることが2つあります。

その1 知ること、考えること、行動すること
 自分が知らないことがこの世の中にはたくさんあり、それを知るために学ぶのであるということ。
開発途上の国々の女性や子供たちが本当はどのような生活を送っているのか、お家の方々の深い愛情に包まれて育ったあなたとの違いはなんなのか。まずは知ること、それが考え、行動することに繋がり、流れができ潮流となる。

一時間一時間の授業に真剣に取り組む、そのためには旺盛な好奇心も必要だし、更に学びを深めるために自ら学ぶ時間も大切です。教えてもらうのを待つ学びのスタイルをぜひ、自ら求めて学ぶスタイルへと転換してほしいと思います。

自分の良さをみつけ、失敗を恐れず、能力を信じて全力で挑戦してください。あなたたちには恵まれた能力がある。その力を使い切らないのは勿体無い。どうぞのびのびと、自分の良さや、能力を信じて思う存分それを発揮しましょう。

今この瞬間、あなたが想像できる、あなたが活躍できる場はどれくらい広いですか。許す限りどこにでも行って自分の力を試してください。

その2 見つめる時間軸を伸ばす
今、あなたの未来を見る目は、どこを見ていますか。まずは2030年、2050年。あと11年、あと21年。日本はどんな状況になっているのか想像できますか?経済界や大学では、劇的に若者の人口が激減する2030年をどう乗り超えるか、生き残りをかけた改革や、イノベーションが進められています。
昨年、創立110周年を迎えた大妻女子大学でも、現在、次の100年を見据えた構造改革プロジェクトがスタートしました。

さあ、あなたは、その時、どんな人になっているのでしょう。そのために、これからの学校生活をどうすごしていくのかを真剣に考えてください。いつも、時代の先を見て。

大妻コタカ先生は私たちに
「理想や希望を持つだけではダメ。
どうしたらばそれが達成させられるかという工夫をすること。
失敗しても失敗しても幾度でも立ち上がって努力すること。
希望や理想は私たちの学業が進むにつれて、人間性が向上するにつれて、次第に大きく高くなるもの。いつもその先を見つめながら歩きましょう。」とおっしゃっています。
素晴らしきコタカ先生です。

中学の新入生
今日入学したあなたたちの仲間には、プレゼンテーションが得意な人、学ぶことが得意な人、スポーツが得意な人、理科が得意な人、プログラミングが得意な人、英語が得意な人、人の気持ちを思いやるのが得意な人、クラスをまとめるのが得意な人などいろいろな良いところを持った人たちがいます。
それぞれのすばらしさを、認め合い、磨きあうクラスにしましょう。

保護者の皆様
 私たち教職員は、お嬢様をコタカ先生と同じ気持ちで自分の娘と思い、一丸となり日々全力で教育活動に取り組んでまいります。   

今、大妻嵐山では教職員が、新しい時代に向けて策定された新学習指導要領の趣旨を踏まえて
「教えてもらうのを待つ学び」から、「自ら主体的に学ぶ学び」へと生徒たちの学びのスタイルを変えることを目標に、自分自身の授業を、それができる授業に進化させるための努力を続けています。「学ばない人からは人は学ばない」を胸に刻んで切磋琢磨し、工夫し「主体的・対話的な深い学び」となる授業を志向し、努力を重ねています。
この職員たちに、さらにこれまで様々な分野で活躍し、実績を積んだ教員,
若手教員もメンバーに加わります。大妻嵐山のさらなる教育力UPも期待していただきたいと思います。

娘たちはこれから学校生活で楽しいことや充実感を味わうことがたくさんありますが、悩み、苦しむこともたくさんあると思います。それを自分の力で乗り越えてゆく力の育つ時代です。
必ず、彼女達は自力で乗り越えていきます。
お嬢様の自力を信じて、保護者から自立支援者となって、成長を見守っていただきたいと思います。お嬢様のことを時には厳しく、ともに鍛えてゆく同志として、ご一緒させていただきます。

高校3年生、2年生、中学3年生、2年生
大妻嵐山の先輩として、後輩の1年生達が、1日も早く大妻嵐山でともに学ぶ仲間として充実した学校生活を送るために、自分たちが何をするのかをしっかり考えて動いてください。先輩のエネルギーを見せてください。新入生はそれを心強く思うはずです。どうぞよろしくお願いします。

伝統は守るだけではなく、時代の変化を見据え、改革とイノベーションにより築かれてゆくもの。大妻学院の110年、大妻嵐山の50年の伝統を守り歴史を刻む一人としてお嬢様を育て、学校を発展させることを改めてお約束いたします。